「科学ジャーナリスト、松永和紀のニュースレター」
残留農薬や食品添加物のリスク、食品産業の環境負荷や持続可能性などをフィールドに取材をして26年が過ぎました。
これまで、いろいろなメディアで書いてきたつもりですが、このところちょっとサボっています。生協や業界団体の広報誌等、お堅いところの連載はいくつか持っていますし、依頼されれば執筆したり、テレビ番組にも顔を出したりいろいろですが、メディアに自分からネタをお知らせして「書かせてください」とお願いすることがなくなりました。
作業中やできあがったものに、釈然としないことが多いのです。顕著なのは、タイトルやリードの問題。メディアにおいて、原稿は筆者のものですが、タイトルやリードは編集部に決定権があります。編集部は、目立たせたい、読者の関心を惹きつけたい、と必死ですから、それなりにセンセーショナルな言葉になります。もちろん、間違いのタイトルやリードは直してもらいますが、「この部分は,本質的には重要ではないんだけど……」みたいなものになってしまうこともあります。「これは危ない」「あれさえ食べれば大丈夫」的な見出しをつけられることもあります。
そういうことをしていると、目先のページビューは稼げても、よい固定読者は育たないのでは? そう思いますが、ちょっと年寄りムーブしているような気もするし、若い編集者にはなかなか言えませんね。それに、原稿の内容も、こういうリスクもあるがベネフィットもある、みたいな、バリっとした結論になっていないものだと、歓迎はされません。
でも、現実にはそういう情報も必要だ、と思いませんか? 食品の世界は、複雑で深いのです。「危ない!」「効く!」だけではありません。複雑で深いからこそ面白い。そして、おおぜいの人たちが、安全でよいもの、おいしいものを提供しようとし、環境影響や動物福祉などにも配慮しながら、がんばっている。どのように伝えていったらよいのだろうか?
短文や動画中心のソーシャルメディアの時代だからこそ、私なりにできることがないかなあ、とずっと考えてきました。このThe Letterで、万人向けではないけれど、食に関心のある方々には深く刺さる情報を提供したいと思います。食品安全のほか、生産技術、環境影響等、国内外の動きと、それをどう受け止めたらよいのか。私なりの切り口で領域を横断し、総合的な視点をお伝えしたい。
しばらくは試運転です。とりあえず、月2回ぐらいはレターをお届けし模索したいと思います。内閣府食品安全委員会に関係するものは「誰でも」読めるものとし、私なりの切り口で提供する情報は、登録読者やサポーターの方々にお届けします。どうぞご期待ください。
松永和紀 プロフィール
1989年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち、フリーのジャーナリストとして独立。主な著書は「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)、「効かない健康食品 危ない自然・天然」(同)、「食の安全と環境〜気分のエコにはだまされない」(日本評論社)、「ゲノム編集食品が変える食の未来」(株式会社ウェッジ)、『食品の「これ、買うべき?」がわかる本』(大和書房)
2021年より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)
2025年より東京女子医科大学評議員
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